DeFiのための戦い

SECからのウェルズ・ノーティスを受け、Uniswap Labsからのお知らせです。

DeFiのための戦い
Photo by Christina Deravedisian on Unsplash

Uniswap公式ブログ記事「Fighting for DeFi」の日本語訳です。


本日2024年4月10日、Uniswap Labsは米証券取引委員会(SEC)の執行部門から「ウェルズ・ノーティス」を受け取り、法的措置を勧告する意向があることが通知されました。この間も、現在提供しているすべてのプロダクトは引き続きご利用いただけますし、新プロダクトの開発も継続していきます。SECが米Coinbaseやその他の企業に対して現在進行形で訴訟を起こしていることや、米国内で合法的に活動する企業に対しても明確なガイダンスや登録手続きを一切提示しない姿勢を踏まえると、今回の措置もブロックチェーン技術を開発する優良な企業をターゲットとした政治的な動きと結論せざるを得ません。

SECは「ほとんどの」トークンが証券であると述べていますが、現実にはトークンはPDFやスプレッドシートのようなデジタルファイル形式で、多種多様な価値を格納できるものにすぎず、証券に該当するものではありません。紙が全て株式証書ではないのと同様です。取引されている大多数のトークンは、ステーブルコインやコミュニティトークン、ユーティリティトークン、EthereumやBitcoinのようなコモディティであり、証券ではありません。また、Uniswapのような二次マーケットで取引されるトークンも投資契約には該当しません。仮にトークンが証券に該当する場合でも、SECはビジネスが登録できる道筋を提示していません。

私たちは、Uniswapのプロダクトが単に合法であるだけでなく、革新的なものであると確信しています。これらは透明で検証可能なマーケットを実現し、中間業者を減らすことで、世界中の人々が低いコストで手軽にグローバルな経済活動に参加できるようにするものです。

Uniswap Labsは何者か

Uniswap Labsは、ニューヨークに本社を構える米国のソフトウェア企業です。創業者兼CEOであるヘイデン・アダムス(Hayden Adams)は、分散型のEthereumブロックチェーンが持つ利点を活かしたソフトウェアの実験として、Uniswapプロトコルを開発しました。このプロトコルの利点には、不変なコア機能、制限されないアクセス、中央管理者が存在しない構造などが含まれます。

Uniswapプロトコルは、マーケット構造に前例のないイノベーションをもたらしました。透明な取引実行、オープンソースコードによる共有インフラ、自分の資産を自分で管理する仕組み、独占的な中間業者なしでの直接かつ完全自動化された取引などが可能です。また、Uniswapプロトコルの自動マーケットメイカー(AMM)機能により、従来の仕組みでは成立が難しかった流動性の低い資産にも誰でマーケットを作り出せるようになりました。

6年前、機能的な自動マーケットメイカーの概念は存在していましたが、実現していませんでした。しかし現在、Uniswapプロトコルはクリプト領域で広く採用され、ブロックチェーンマーケットの基盤として重要な役割を果たしています。UniswapはEthereumの最大のユースケースであり、Ethereumのブロックスペースの25%を使用しています。また、これまでに2兆ドルの取引をハッキングなく処理してきました。Uniswapプロトコルは、世界中の開発チームが構築した数千のアプリケーションに統合されており、オープンソースのスマートコントラクトプロトコルとしても2,000回以上フォークされています。

Uniswap Labsは、すべての取引がブロックチェーン上で完結する消費者向けプラットフォームを提供しています。私たちのモバイルアプリでは、ユーザーが自分の資産を自分で管理できるようになっており、ブロックチェーン上の個人専用の貸金庫のように、所有者だけがアクセス可能です。また、ウェブサイトではユーザーがトークンを安全に売買できる機能を提供しています。

私たちがこの事業に取り組むのは、ブロックチェーン技術が米国や世界中の人々に、自分の資産に対する選択と管理の自由をより多く提供できると信じているからです。この目標の実現は、私たちにとって非常に価値のあるものです。

もしSECが、米国民の機会を広げコストを下げられる新しい透明な技術を攻撃し、従来の不透明なシステムを保護するのであれば、米国は、消費者の選択と自由を支えるイノベーションの分野で遅れを取ってしまうでしょう。イノベーションと経済的な自由を守るために、米国の政府機関と対立しなければならないかもしれないことは残念に思っています。

法はあきらか

SECがどのような判断を下すかにかかわらず、次の点について法律は明確です。

1. 議会の権限なし
SECは、議会からの特別な権限を持たず、証券として法的に「投資契約」に分類される資産にのみ管轄権を持っています。SEC対Rippleの裁判では、デジタル資産の二次マーケットでの取引は通常、投資契約には該当しないとされました。Uniswapプロトコルで大多数が取引しているのは、まさにこのような資産です。また、SEC議長自身も議会での証言で、トークンに関する新たな規制には議会が新しい法律を制定する必要があり、現行のSECにはその権限がないことを認めました。Uniswap Labs自身も、対Risley裁判において決定的な勝訴を収め、クリプト規制はSECではなく議会が決めるべきだと強調しました。また、SECがShapeshiftに対して行った最近の和解では、ShapeshiftがDEXであるという事実を完全に無視し、ディーラー問題だけに焦点を当て、明確な法的根拠なしに恣意的な執行が行われていることが示されました。

2. 証券取引所やブローカーの定義に該当しない
仮に対Rippleの判決や最高裁判所のHoweyテストがSECの主張を完全に否定しなかったとしても、Uniswapプロトコル、ウェブアプリ、ウォレットは証券取引所やブローカーの法的定義には当てはまりません。SEC対Coinbaseの裁判でも、開始段階で既に、クリプトウォレットはたとえ手数料を徴収してもブローカーには該当しないと判断され、SECの主張は却下されました。SEC自身、自主管理のオンチェーン活動は現行の法律の定義には含まれないことを認識しているようで、昨年、新しい取引所ルールを提案し、この活動を取り締まろうとしました。しかし、これらのルールはまだ施行されておらず、たとえ採用されたとしても、無効になる可能性が高いと私たちは考えています。

3. 証券としての提供ではない
UNIトークンは、証券の法的定義を満たしておらず、「投資契約」にも該当しないため、証券ではありません。米国法および確立されたHoweyテストでは、投資契約とは「他者の努力に依存する利益を期待して、共通の事業に対する資金の投資」を指します。Uniswap LabsとUNIトークンの30万人以上の保有者との間に契約や約束はなく、共通の事業も存在しません。また、トークンの価値はUniswap Labsの努力のみに依存しているわけではありません。SECがEthereum Foundationに対して調査を進めている一方で、CFTC(商品先物取引委員会)は、ビットコインとイーサリアムは証券ではないと明確に述べています。Uniswap技術エコシステムもビットコインやイーサリアムと同様に十分に分散化されています。

私たちは、Uniswapのプロダクトが合法であり、私たちの事業が歴史の正しい側にあると確信しています。法務チームが戦う間も、私たちは「開発」に全力を注ぎ続けます。

Uniswap情報

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