Uniswap財団2024年活動報告:コミュニティ・インパクトレポート2024

Uniswap財団は2024年、開発者支援やガバナンス改革を通じてDeFiコミュニティに大きな影響を与えました。2025年には独自チェーン「Unichain」のメインローンチを控えています。2024年の成果と未来への展望をお届けします。

Uniswap財団2024年活動報告:コミュニティ・インパクトレポート2024
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本記事はUniswap財団が発表したコミュニティ・インパクトレポート2024、公式Mirror記事「The Uniswap Foundation 2024 Community Impact Report」、@UniswapFNDが投稿したXスレッドの内容を日本語でまとめたものです。


この1年間、Uniswap財団の助成金プログラムはDeFiの重要な発展を後押ししてきました。800人以上の開発者を支援し、620人以上の研究者の活動を進め、150以上の新しいv4 Hooksが開発されました。レポートの全文はこちらからご覧いただけます。

2025年を迎える今、私たちのコミュニティは大きな節目に差し掛かっています。これから、DeFiにとって2つの大きな転機が訪れると考えています。1つ目は、アメリカにおける規制がより前向きな方向へ進むこと。2つ目は、Uniswap v4とUnichainのローンチです。2025年は、私たちにとって非常に大きなチャンスの年になるでしょう。

こうした重要な時期になると、Kenと私がUniswap財団を設立した理由を改めて思い出します。私たちが目指すUniswapプロトコルのビジョンは、世界中のデジタル価値を移動させるためのインフラとなることです。そして、Uniswapコミュニティの役割は、世界中の組織や個人が信頼できる不変の(改竄されない)ソフトウェアを作り、それを支え、広めていくことだと考えています。

この目標を達成するために、Uniswap財団は主にUniswapの技術インフラ、開発者、そしてガバナンスシステムに注力しています。私たちは開発者と協力し、コミュニティの力を活かして次世代のDeFiイノベーションを生み出すことを目指しています。また、Uniswapのガバナンスを強化し、コミュニティ主導で成長をリードできるよう支援することにも取り組んでいます。その中で、サステナビリティ(持続可能性)とレジリエンス(回復力)の確立を進めていきたいと考えています。さらに、私たちはインパクト重視の助成金、透明性、そしてコミュニティとの連携を最優先にすることで、プロトコル財団として新しい基準を確立することを誇りとしています。

2025年に向けて、私たちはこの絶好の機会を活かしつつ、Uniswapコミュニティの可能性を新たに切り拓く準備が整っています。この前進は、2024年に築いた強固な基盤の上に成り立っています。その詳細は、初めて発行した年次レポートに記されています。

2024年のコミュニティ・インパクトレポートでは、Uniswapの開発者コミュニティの成長と活性化をリードした私たちの取り組み、そしてそれを支える社会的およびガバナンスのインフラについてまとめています。このレポートを通じて、私たちの進捗状況を共有し、透明性を提供するとともに、2025年のロードマップを確定する際に、コミュニティからの意見を取り入れる場を作りたいと考えています。

この1年間で、Uniswap財団は以下の取り組みを行いました:

Uniswap開発者コミュニティの拡大

2024年、Uniswap財団は800人以上のv4開発者を迎え入れました。

この中には、業界のリーダー、著名な研究者、大学教授、スタートアップのファウンダー、そして世界60カ国以上から集まった革新的なビルダーが含まれます。私たちのプログラムを通じて、150を超えるHooksが作成され、その応用分野は、MEV(最大抽出可能価値)の軽減と再分配、RWA(リアルワールドアセット)の導入、AIを活用した資金管理など、多岐にわたります。

Uniswap v4を活用しているチーム

Uniswapガバナンスの強化

2024年、Uniswap財団は「Govswap」を立ち上げました。これは、Uniswapのデリゲート(Uniswapプロトコルに投票権を持つ代理人)が対面で集まり、互いに学び合い、自身の取り組みを発表し、ポジティブな影響を与える実行可能なロードマップを作成する、定期開催のフォーラムです。また、ガバナンス向けの条件付き資金提供マーケット(Conditional Funding Markets)の設立を後押しし、Unistakerのコード開発に資金提供することで、ガバナンスの持続可能性を支える基盤を整備しました。

初期のUnichainネットワークの構築

ここ数カ月間、Uniswap財団はUnichainの開発者エコシステムを立ち上げました。

  • 765人のビルダー応募
  • 5000万件のテストトランザクション
  • 400万件のテストコントラクトデプロイ

メインネットのローンチが近づく中、ローンチ初日から導入される予定の30以上のプロジェクト連携やアプリケーションがこれまでに発表されており、今後さらに多くが公開される予定です。

Uniswapコミュニティに関する取り組み

  • 初のUniswapコミュニティカンファレンス
    Devcon2024バンコクで開催されたUnidayでのセッションはこちらから視聴できます。
  • 初のUniswap研究者カンファレンス
  • 初のUniswap開発者インキュベーター
  • 初のUniswap監査助成基金
  • 助成金配分のために初めてフタルキーを導入
    * フタルキーとは、経済学者のロビン・ハンソンが提唱した理念で、DAOで出された提案を予測市場(プレディクション・マーケット)に出し、マーケットの原理で判断することを指します。予測市場はEthereum開発者Vitalik Buterin氏も注目している分野なので要チェックです。
予測市場が切り開く未来:情報金融(インフォ・ファイナンス)の可能性 - Vitalik Buterin
Polymarketに代表されるプレディクション・マーケットは、ギャンブル以上のポテンシャルを秘めている。Ethereumの父Vitalik Buterin氏のコラムの日本語訳です。

DeFiにおける重要な影響の創出

  • 800人以上のv4開発者の参加
  • 150以上のv4 Hooksの誕生
  • 620人以上の研究者との協力
  • 総額1588万ドルの支出(2024年)
  • 100以上のプロジェクトを助成

2025年に向けて、私たちはこの基盤の上にさらに多くを築いていきたいと考えています。2025年の目標は、Uniswapのステークホルダーであるデリゲート(Uniswapプロトコルに投票権を持つ代理人)と開発者のために価値を創出し、シェアすることです。また、Uniswapガバナンスを持続可能な形で強化し、コミュニティ主導で成長する新しい道を切り拓いていきます。さらに、開発者が新しいアイデアを形にし、成長できる理想的なデジタル環境を整えることにも注力していきます。これらの目標について、今後数週間の間にコミュニティの皆さんとさらに詳しく話し合えることを楽しみにしています。

DeFiの未来は明るいと信じています。
私たちは、皆さんと共にその未来を築いていけることを誇りに思います。

Uniswap財団コミュニティ・インパクトレポートの全文はこちらからご覧ください。


あとがき

さすがはDEXの先駆けであるUniswap、その活動内容には驚かされますね。ブロックチェーンエンジニアの育成や研究、ガバナンス改革など、これほど幅広く、かつ深いレベルで取り組むプロトコルは他に見当たりません。UniswapはTVLや取引高をアピールするのではなく(もちろんそれも重要なのですが)、業界全体を前進させる意欲を語り、それを着実に実行しているのが印象的です。業界のリーダーにふさわしいこの姿勢こそ、私がUniswapを好きな理由のひとつです。

そして2025年、Uniswapは独自チェーンであるUnichainのメインネットをローンチします。

Unichain – DeFi向けに設計されたEthereumのレイヤー2
Uniswap LabsによるUnichainのリリースブログ記事を和訳しました。
Unichainホワイトペーパー日本語訳
Unichainのホワイトペーパーを調べながら読んだので、和訳しました。

この取り組みは、2018年に創設されたUniswapの歴史の中でも、特に大きな挑戦です。Uniswapほど巨大なプロトコルが、取引に最適化された独自チェーンを構築した場合、業界全体にどんな影響を与えるのか?これは、私が2025年で最も楽しみにしているイベントです。これからもUniswapの動向を見守りたいと思います。