Uniswap v4リリース!DeFiを変革する機能を徹底解説
Uniswapがついにv4へ。DeFiの課題を解決する機能群の詳細をわかりやすく紹介します。

Uniswap v4がついにリリースされました!
新たに導入されたHooksや動的手数料は、従来のAMMの課題を解決し、DeFiに革新的な変化をもたらします。
UniswapがDeFiの世界で果たしてきた役割
2018年に登場したUniswapは、流動性プールを基盤とするAMM(自動マーケットメイカー)モデルを普及させ、従来のオーダーブック型取引所では難しかった取引の透明性と効率性を実現しました。そして、分散型金融(DeFi)の基盤プロトコルとして、着実に進化を遂げてきました。
v1からv3までの進化の概要と貢献
Uniswapは、v1でAMMを導入、v2でカスタムプールと価格オラクルを改善、v3で集中流動性を実現し、資本効率を大幅に向上させました。
- v1(2018年11月):AMMモデル登場
世界初のAMM(自動マーケットメイカー)プロトコルとして登場、ERC-20トークンのスワップをシンプルに実現。 - v2(2020年5月):統合性と拡張性の向上
カスタムプールの導入により、流動性提供者が任意のトークンペアを作成可能に。また、価格オラクルの改善で、外部プロジェクトとの統合が容易になり、DeFiプロトコル全体の信頼性と機能を向上。 - v3(2021年5月):集中流動性(Concentrated Liquidity)
流動性提供者が特定の価格帯に流動性を集中させることで、資本効率を飛躍的に向上。DeFi全体の流動性の質が向上し、プロトコルの成熟が加速。
地道な開発努力により、UniswapはAMM機能をさらに洗練させ、プロトコルを進化させてきたのです。そして2025年1月、ついにv4がリリースされました。
v3の課題を解決するv4の技術革新
着実に改善されてきたといっても、v3には課題もありました。
v3の課題①:流動性戦略の制限
Uniswap v3では、集中流動性(Concentrated Liquidity)によって資本効率が向上しましたが、流動性提供者にとって課題も生まれました。特に急激な価格変動が起きると、流動性が価格範囲外になり手数料収入が得られません。そのため、流動性のこまめな管理が負担となりました。

v3の課題②:プロトコルカスタマイズの難しさ
流動性プールごとに基本ルール(価格曲線や手数料率)が固定されており、開発者が独自のカスタマイズを施すことが困難でした。
v3の課題③:インセンティブ設計の不足
プール作成者は流動性提供者に対する柔軟なインセンティブ設計ができず、流動性の維持には別口の工夫が必要でした。
これらの課題を解決するのが、Uniswap v4の目玉機能であるHooksです。
Uniswap v4のイチオシ機能、Hooks
Hooksは、特定イベント(スワップ、流動性操作など)発生時に独自のロジックを実行できる仕組みです。Hooksを利用することで、従来は固定的だったプロトコル運用に、市場状況に応じた高度な最適化を加えることが可能となります。
- 開発者/プール作成者によるHooks利用例
プール作成者は、プール新規作成時にHooksコントラクトを1つ設定することができます。- 動的手数料の設定:市場の状況に応じて手数料を自動調整
- カスタムAMMモデルの導入:標準的なxy=kモデル以外のロジックを適用
- 独自のインセンティブプログラム:報酬トークンの自動配布、取引量や市場条件に基づいた報酬ルールの適用
- ユーザーによるHooks利用例
- 自動流動性管理:価格変動に応じ流動性を自動再配置
- より柔軟な指値注文:自由度の高い完全オンチェーン・リミットオーダー
Hooksはプラグインという表現もできますね。
1つのHooksコントラクトに対し紐づけられるプール数に制限はありません。
Uniswap v4は、新たなカスタマイズ機能「Hooks」を通じて、開発者やユーザーが自由にプロトコルを拡張できる柔軟な基盤へと進化するのです。
蛇足:Uniswap v3とUniswap v4での指値注文の違い
Uniswap v3でも、指値注文に相当するものは存在していました。特定の価格範囲外で流動性を提供することで、価格が範囲内に入った際に自動的にトークンが売買され、希望価格で注文が成立する仕組みです。しかし、これには以下のような課題がありました。
- 価格が指定範囲を超えると流動性が無効化され、オーダーが成立しない
- 指定範囲を超えた場合、手動で流動性を再調整する必要がある
一方、Uniswap v4のHooksを有効活用した指値注文では、
- 価格が範囲を超えた場合でも、新たな範囲に流動性を自動再配置
- 複数価格範囲にまたがる注文分割処理など、複雑な戦略にも対応
といった改善が可能となります。
- 完全オンチェーンでの自動注文管理が可能。
- 価格変動に応じた自動対応による、手動管理の負担軽減。
- 柔軟なカスタマイズ性によって、他のAMMが提供する一部自動リミットオーダー機能よりも高い自由度を実現。
この情報は公式Docsに丁寧に書かれていました。

Uniswap v4で実現されるさらなる進化
Hooks以外にも、Uniswap v4では様々な新機能や改善が実装されており、ガスコスト削減や資産管理効率の向上を提供します。実際に、その革新的な機能群をひとつずつ見ていきましょう。
1. 動的手数料の導入
Uniswap v4は、動的手数料(Dynamic Fees) をサポートします。これにより、プールが市場状況に応じて手数料を上下に調整できるようになります。他のAMMが動的手数料のロジックを事前に設定していることが多いのに対し、Uniswap v4では特定の計算方法に縛られることなく、開発者が自由に設計可能です。
- 柔軟な手数料設定
開発者は、スワップごと、ブロックごと、定期(毎週、毎月、毎年)など、手数料の更新頻度を任意に決めることができます。 - 設計の自由度向上
動的手数料によって、手数料の最適化や価値の再配分、さらには新しいAMM戦略の研究が促進されます。例えば、市場が急変した際に手数料を引き上げ、流動性が不安定になるのを防ぐことで取引の安定性を保つ、といった戦略が可能です。
2. シングルトンデザインの採用:ガスコストの大幅削減
Uniswap v3では、プールはファクトリーコントラクトによって作成され、各プールが独立したコントラクトとして個別に状態を管理していました。この設計では、プールごとに新しいコントラクトをデプロイする必要があり、ガスコストが高くなっていました。
Uniswap v4では、「シングルトンコントラクト」が導入され、プールが単一の管理コントラクトに統合されたことで、各プールごとのデプロイが不要になりました。これにより、新たなプールの作成時のガスコストは最大99.99%削減され、マルチホップスワップ時のガスコストも減少します。
3. ネイティブETHのサポート:ガスコストの削減
これまでのUniswapでは、ETHを他のトークンとペアにする際、事前にラッピングしてWETH(Wrapped ETH)に変換する必要がありました。Uniswap v4では、ネイティブトークン(ETH)が直接サポートされるため、WETHの変換が不要になります。
この改善により、ETHを用いた取引や流動性提供が、よりシンプルかつコスト効率の高いものとなるでしょう。
4. フラッシュアカウンティングの導入:トークン転送の効率化
Uniswap v3では、各操作(スワップや流動性の追加・削除)ごとに個別のプールコントラクト間でトークン転送を行っていました。この設計では、操作ごとにトークン転送が発生し、ガスコストが増加します。
Uniswap v4のフラッシュアカウンティングは、複数回のトークン転送を一括処理することで、ガスコストを削減し、より効率的な取引を実現します。
5. サブスクライバー機能:ステーキングと流動性マイニングの効率化
Uniswap v3では、ステーキングを行う際にユーザーがポジションを表すERC-721トークン(NFT)を専用のステーキングコントラクトに転送します。この仕組みには、基礎資産(ステーキングした資産)がリスクにさらされる可能性がありました。
Uniswap v4で導入された「サブスクライバー機能」では、ポジションに対してサブスクライバーコントラクトを設定できます。ポジションの流動性や所有者の変更時に通知を受信したり、ポジションNFTを転送せずにステーキングを実行できることで、資産リスクが軽減され、効率的な運用が可能になります。
DeFiの未来を支えるUniswap v4の可能性
Uniswap v4は、これらの新たな機能と改良によって、開発者とユーザーの双方に大きな恩恵をもたらします。中でもカスタマイズ性を高めるHooksは、より多様で革新的なプロダクトの誕生を後押しし、DeFi市場全体を進化させる起爆剤となるでしょう。これからもUniswap v4をフル活用したプロジェクトを追っていきたいですね!
Uniswap情報
Webサイト:https://app.uniswap.org/
X(旧Twitter):https://x.com/Uniswap
ブログ:https://blog.uniswap.org/
あとがき
ブログ記事を書き上げた後、いつもChatGPTで誤字脱字と難読な箇所がないかチェックするのですが、今回初めてこんな指摘を受けました。

3年と8ヶ月待ったバージョンアップですから、仕方がありませんね。
参考
